エイジ・ツカちゃん・タモツ君・岡野・相沢

　『エイジ』　重松清
　
　面白い。
　こういう話、一夏のこんな経験を通して答えは出なかったけれども少年達は少し前進しました系の話は、評価を狙っている感があってあまり読みたくはなかったのだが、地元の図書館にの品ぞろえが貧弱な為手を出してしまった。
　すると、面白かった。

　ただ、面白いというのはお話として、エンターテイメントとして面白いのであって、特にリアリティがあるとは思わなかった。登場人物達は、ひどくキャラ立ちしていて、し過ぎていて。多分、こんな中学生いない。信義に厚い不良や、クールに決めて何でも出来る中学生なんて。
　特に、お話の後半の焦点であるエイジの葛藤。自分の中にも見知らぬ相手を特殊警棒で殴りつけたい、自分を慕ってくる彼女をナイフで刺したい、と思う心を抑えようとする葛藤は共感がまるで生まれなかったし、それがどうして芽生えたかもよく分からない。
　ただ、それがあるためにエンターテイメントとして面白かったという事。

　べつにけなしている訳ではなく、これは面白い。ただ、これをもって中学生とは、なんて考える方がどうかと思う。