長崎快宏

　『アジア・ケチケチ一人旅』　長崎快宏

　PHP文庫から出てる、旅行の体験記。こんな安宿に泊まった、とか、こんな露店に驚け、とかそういう内容。
　思うに、旅行記というのはかの有名な沢木耕太郎の『深夜特急』もそうだが、旅行に行きたくなる為に読むものであって、旅行に行く前に読むものではないな。役に立つような内容ではない。

　16日からタイに行く予定なのだが、カオサン通りの宿を探す予定。ところが文中にこんな内容が

　〜彼らがここへ来る理由は、貧乏旅行者の「勲章」を得るためである。〜

　ちょっとカチンと来た。
　有名な安宿街に行ってみるというだけの人間がなんで馬鹿にされなくてはならないんだ。そもそも、「勲章」なんて言い方をするこの作者は、自分が権威ある貧乏旅行者であるとでも言いたいのか。バカ臭い。
　そう思うと、一冊丸ごと自慢話（自慢するような内容ではないのに。自分はただ単に見てきただけだ）に思えてきてもうダメだ。
　内容自体は面白く読めると思う。